気密測定 定期報告 25(~発泡ウレタン断熱材の基礎知識 その2~)

エスケイハウジングでは、建築させていただくすべてのお家で気密測定を行っております。

先日も、みなべ町で建築中の現場にて気密性(C値)の測定を行いました。

結果は 気密C値=0.14 でした。今回も安定の超高気密が確保できております。最近またさらに平均C値を向上させることに成功しております。いよいよ平均C値0.1台前半になりそうです。

 

以下、前回に引き続き、当社が100倍発泡(A種3型)ではなく30倍発泡(A種1H型)の発泡ウレタン断熱材にこだわる理由について解説します。結論から申し上げれば、100倍発泡型には様々な問題点があるから当社では使わないのです。以下がそれらの主な理由です。

 

断熱においてもっとも大切な要素は、気密と●●

断熱材がしっかりとその効果を発揮するために重要な要素は、まずは気密性です。これはこんなマニアックなコラムを読まれている方ならすでにご存知でしょう。

高性能な断熱材であっても隙間なく密に充填されていなければその効果は40~50%も低下するとも言われています。この点において発泡ウレタン断熱材は非常に強いメリットを持っています。それは発泡ウレタン断熱材はプロの施工業者が責任施工し、高い気密性を容易に確保できるからです。この点においては100倍発泡型も30倍発泡型もさほど大きな違いはありません。つまり安い100倍発泡型でも高気密は問題なくつくることができ、一見は同じようなスペック(C値)の住宅を建てることができます。

しかし100倍発泡型と30倍発泡型で決定的に異なる部分があります。それが透湿性(防湿性能)です。上記の●●に入るのは「防湿」です。

100倍発泡型は湿気を比較的通しやすいという特性を持っています。断熱材の中に湿気が入れば、冬に冷やされてそこで結露が発生し、まさに住宅にとっては最低最悪の現象「壁体内結露」を起こす可能性が出てきます。それを起こさないためには 1.室内側に防湿層を設ける 2.吹付ける構造用面材を湿度を通しやすい素材(ダイライトやMDF等)にして湿気を外へ逃がす構成にする という2つの対策をしなければなりません。それができていなければ壁体内結露が発生し、断熱材はその効果を半減させ、また構造体を腐らせることになります。

それに対し、30倍発泡型は高密度なため、湿気を非常に通しにくいという特性をもっています。このためメーカーも「30倍発泡型は防湿層不要」としています。つまり30倍発泡型はその性能の永続性と、構造体の劣化防止対策(壁体内結露対策)にも有効であるということです。ただしもちろん、30倍発泡型の方が1.5~2倍はお値段が高いというデメリットも存在します。

 

悪魔の所業「スキンカット」

しかし100倍発泡型にも壁体内結露リスクを抑える方法があります。それがウレタンの吹付けが終わった直後に表面に出来上がるツルっとした層、通称「スキン層」。この層は非常に湿度を通しにくいとされており、実質的に防湿層と同じような働きをしてくれるのです。なのでこの層をしっかり残して施工することで防湿層を確保することができ、結露発生リスクを抑えることができるのです。

しかしこれが100倍発泡型の解決しがたいジレンマの部分でもあります。スキンカットをせずに施工するということは、薄く吹きつけるという意味です。しかしそれでは高い断熱性能を確保することはできません。逆に、高い断熱性能を確保しようと厚く吹付ければ必ずスキンカットが必要になるというジレンマです。下記の図がまさにそのスキンカットの概念図となります。スキンカットちなみに100倍発泡型ウレタンを販売しているメーカーがいう、壁への推奨吹付厚は75~80mmです。つまりスキンカットせずに施工できる厚さが75~80mmという意味でしょう。しかしそれだと良くてもせいぜいUA値0.60~0.58程度のお家にしかなりません(天井160mm/窓はアルミ樹脂複合窓と仮定)。まぁギリギリZEH基準はクリアしているので「高断熱」を謳うことはできるのかもしれませんが、正直この令和の時代においては格安の建売住宅でもZEH基準程度はクリアしてきているので、注文住宅で「ZEH基準クリアで高断熱!」はちょっと時代遅れ感があります。さらに言うなら、仮に80mmの吹付厚にしたところで、現実の現場ではスキンカットが無数に行なわれています。100倍にも膨らむウレタンを吹付職人のテクニックだけで完璧にコントロールすることは現実的に不可能なのです。

このスキンカットが行われる限り、100倍発泡ウレタン断熱材は常に壁体内結露のリスクを抱えていると言えます。このリスクを懸念し、100倍発泡型にはメーカーから「別途防湿層が必要(=防湿気密シートを後で施工してね)」という言い逃れの文言が必ず付加されるのです。しかし「温暖地では防湿層なしで大丈夫!」という、赤信号みんなで渡れば怖くない的なノリがこの業界には蔓延しています。国やメーカーが想定するような甘い環境設定ではなく、「外気温0℃/室内温度21度で湿度50%」という実際の環境に近い設定で結露計算をしてみてください。バッチリと内部結露発生のリスクを見ることができます。

 

次回、さらに深いお話に踏み込んでいきます。今回までのお話は建築系YouTuberなどがよく言っている一般論的な話でしたが、次回以降は当社が今まで実験・実測してきた経験則をもとに語るお話となります。

 




紀南地方でもっとも古くから高気密高断熱住宅を手掛けてきた弊社の強みは、このように高水準な数値を安定的に出すことができる点です。

気密数値を語る場合、この「安定したクオリティ」が非常に重要なポイントとなります。1邸1邸の数値が安定しないようでは、お客様によっては「ハズレ」を引く可能性があるためです。

なお、数値性能だけが良くても「=体感性能も良い」という訳ではありませんので注意が必要です。数値性能と体感性能が比例していない建物はたくさん存在します。

むしろ数値性能は参考までと考え、実際に寒い日・暑い日の見学会に参加して「しっかり性能を体感できる」ことが大切です。

今後もまた報告をアップしていきたいと思います。

 

 


お問い合わせ