気密測定 定期報告 26(~発泡ウレタン断熱材の基礎知識 ちょっと番外編~)

エスケイハウジングでは、建築させていただくすべてのお家で気密測定を行っております。

先日も、上富田町で建築中の現場にて気密性(C値)の測定を行いました。

結果は 気密C値=0.19 でした。今回も安定の超高気密が確保できております。今回は半平屋のお家で高気密化には不利な条件でしたが、なんとかC値0.2以下を維持することができました。

 

防湿シートはいる?いらない? ついに結論が出た件

連日、発泡ウレタンの発泡率による違いについてお話をしてきましたが、ここでちょっとタイムリーな話題があったので急きょそれをお届けしたいと思います。

ここ数年様々な意見が交錯していた「100倍(120倍)発泡ウレタンには防湿シートが必要なのか」に、ついに終止符が打たれる記事が発表されました。ここ近年の高断熱ブームをけん引している松尾設計室の松尾先生の記事です。

先に書いておくと、松尾先生のその記事に登場する「発泡ウレタン」は、現在もっとも多く流通している某超有名メーカーのものを指しています。和歌山県下においては「発泡ウレタンを標準採用」と言っている住宅会社の9割以上がこのメーカーのものを採用していると思います。そしてこのメーカーは発泡ウレタン市場でもっとも大きなシェアを持ちながら、なぜか日本ウレタン工業会に加盟していないメーカーでもあります。またこのメーカーは昨今の原材料高騰を受けてか、1年ほど前からウレタンの発泡率を100倍から120倍にして価格を維持する努力をしています。ちなみに当社が採用している30倍発泡ウレタンはこのメーカーのものではなく、日本ウレタン工業会に加盟した別の有名メーカーのものになります。

松尾先生は今回、そのメーカーの本社にて今現在流通している120倍発泡ウレタンの正式な資料を見せてもらい、改めて詳細な検証を行なったとのことです。

その結果は「従来品(100倍発泡)に比べて約3倍も透湿しやすくなっている」とのこと。ちょっと飛躍した意訳になりますが、簡単に言えば「防湿層なしでは内部結露のリスクが非常に高い」ということです。しかも「120倍発泡品の場合、もはやスキン層の有無は透湿性にまったく関係がない」とも書かれておりました。

まぁ私からすると「やっぱりな・・・」という感じです。従来の100倍発泡品でさえ冬場に十分暖かく加湿した環境にすれば、透湿性の高い面材(ダイライト等)を使用してもやや結露リスクのある計算結果になっていたのですから。

 

これから発泡ウレタンを選ぶ際に注意したい点

120倍発泡ウレタンを採用する場合はスキンカットの有無に関わらず必ず防湿シートを施工する必要があるということが証明されたので、もし住宅会社から提案されている仕様が120倍発泡ウレタンである場合は「防湿シートは施工しますよね?」と確認をすることが必要になります。

さらに言えば、構造体の内外を貫いて通す金具や、外部に面する構造体に鉄骨を使用している工法の場合、その熱橋部の処理を120倍発泡ウレタンで行なうのは極めて危険ということにもなります。松尾先生の計算結果から見ると、それをした場合100%結露が発生するという理屈になります。

グラスウール断熱材の場合はもちろんですが、今後は検討されている住宅会社が「断熱材は発泡ウレタンを採用している」という場合、こういった内部結露対策をしっかり検討しているかは必ず確認しておくべきです。そして「いや和歌山県は大丈夫ですよ~」というトークを耳にした場合は極めて注意が必要です。その言い訳はもはや120倍発泡品には通用しないことが証明されたわけですから。

 

紀南地方でもっとも古くから高気密高断熱住宅を手掛けてきた弊社の強みは、このように高水準な数値を安定的に出すことができる点です。

気密数値を語る場合、この「安定したクオリティ」が非常に重要なポイントとなります。1邸1邸の数値が安定しないようでは、お客様によっては「ハズレ」を引く可能性があるためです。

なお、数値性能だけが良くても「=体感性能も良い」という訳ではありませんので注意が必要です。数値性能と体感性能が比例していない建物はたくさん存在します。

むしろ数値性能は参考までと考え、実際に寒い日・暑い日の見学会に参加して「しっかり性能を体感できる」ことが大切です。

今後もまた報告をアップしていきたいと思います。

 

 


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