気密測定 定期報告 33(~当社の全館空調への取組み(後編)~)

エスケイハウジングでは、建築させていただくすべてのお家で気密測定を行っております。

先日も、印南町で建築中の現場にて気密性(C値)の測定を行いました。

結果は 気密C値=0.19 でした。今回も安定の超高気密が確保できております。

当社の全館空調方式の開発経緯、今回が最終章です。…と言いたいところだったのですが、あともう1回かかりそうですね(笑)

 

見えない場所(床下・小屋裏・階間)にエアコンを仕舞い込む空調方式

松尾先生のセミナー等を経て、それまで私が考えていた廊下や階段ホールなどにエアコンを設置するのではない、床下エアコンや小屋裏エアコンという方式を知りました。またその派生種として1階の天井裏(=2階の床下)にエアコンを設置する階間エアコンという方法も存在していることを知りました。

各空調方式概念図コロナ禍が始まりつつあったこの頃、他府県のあるスーパー工務店さんの事務所に直接伺い、それらの空調方式について現物を交えて研修をしていただきました(もちろん有料)。また新住協の会合にも参加させていただき、階間エアコン提唱者の鎌田教授にも直接お話を聞いて学びました。他にも某建築系YouTuberの方がやっている全館空調方式の現物も見に行ったりもしましたね。

それらの空調方式の理屈はすぐに理解できるものですが、実際にチャレンジすると細かな工夫や計算がかなり必要であり、試作品的なものを事務所で作成したりもしました。そして当社工務担当者に実施設計図面を書かせて入念に検討を重ね、満を持してチャレンジしたのがある全館空調方式でした。その空調方式を搭載したお家が完成したのが年の瀬も迫る12月中旬。さっそく実測を行なうと、暖房運転はほぼほぼ予定した効果を得ることができ、安堵しながら年を越したのでした。

 

避けては通れない失敗。時には弁護士案件になることも。

言うまでもありませんが、それらの空調方式に失敗はつきものです。暖房の全館空調は失敗しても「すいませんでした、返金します」でお許し願える可能性が高いですが、問題は冷房です。冷房の失敗は「結露」という構造体への致命的なダメージに繋がる可能性が高く、「すいませんでした」では済まされない可能性があります。にもかかわらず何も勉強していない住宅会社に限ってなぜか暖房よりも冷房の全館空調に先に取り組もうとすることが多いものです。断言しますが、暖房よりも先に冷房の全館空調にチャレンジした場合は確実に、10000%失敗します。小学校の算数さえできないのに微分積分にチャレンジしようとしているようなものです。原理原則は共通なのですが、実際の難易度は暖房と冷房ではレベルが違うのです。

さて安堵の年越しから半年、冷房期を迎えました。初夏のうちは問題なかったようですが、日増しに暑くなってきたころ、最悪の事態を迎えます。「天井点検口から水滴が落ちてきます」とお客様よりも連絡が…。すぐに駆け付けると、天井点検口のアルミ枠に結露が発生していたのです。何度か通って対策を施しましたが、程度は軽減したものの完全に結露を抑えることはできず、結果お客様に使用を控えていただくことになったのです。研修で学んだ通り万全の対策をしたつもりだったのですが、さすがにこの和歌山県の高温多湿には耐えられなかったのでしょう。

今回は経過観察中だった故にすぐに気付くことができたため構造体にダメージはありませんでしたが、これが気付かずにひと夏じゅう結露しっぱなしであれば構造体に致命的なダメージを与えます。今回は謝罪に加えて数十万円の賠償金をお支払いすることでお客様にご納得いただくことができましたが、構造体にダメージを与えていればもはや裁判沙汰、家の建て直しを要求されてもおかしくないことになります。

数十万円にも及ぶ損失を出したこの失敗でしたが、これは良い勉強代になったとも捉えています。この出来事でどのような部分にどのような失敗が起きるのか、その勘所を身につけることができました。逆に言えば、このような失敗を経験していない住宅会社が行なう全館空調方式が一番怖いのです。もし住宅会社が居室以外の場所(廊下、ホール、屋根裏 等)にエアコンを設置するような全館冷房を提案してきた場合、そもそも今までそれで成功事例・失敗事例があるのかを確認することは必須となります。そして「失敗事例がない」というときほど実は危険であるということも知っておいてください。

 

見えないエアコンは危険である

もう1つそれらの空調方式から私が学んだことは「見えない場所にエアコンを仕舞い込む方式は危険である」ということでした。普段見えない場所で冷房用エアコンが稼働していた場合、結露を起こしていてもそれにすぐに気付くことができません。また築後、断熱性・気密性が上がっていくことはあり得ません。つまり結露のリスクは日に日に高まっていくという意味です。なので新築後数年は問題が起きていなくても、数年後から急に結露を起こし始めることは十分に考えられるのです。実際に伺って見せていただいた全館冷房方式でも、すでに結露しかかっているものもありました。新築時であの有様では数年後には確実に結露を生じるでしょう。

さらに現実的な問題として、小屋裏エアコンなどはいわゆる天井裏部屋にエアコンを設置するため、仮にエアコンのフィルターを掃除するとなった際には点検口からハシゴを登ってアクセスする必要があります。若い男性であれば何も問題はないでしょうが、女性や老後に果たして問題なくメンテナンスができるのでしょうか。私は確実に無理だと思います。実際、YouTube動画などで小屋裏エアコンの設置場所を公開しているものをいくつも見たことがありますが、ハシゴをよじ登って四つん這いになりエアコンにアクセスしています。少なくとも私は30年後にそれをする自信はありません。何なら35歳の今でもやりたくないです。

 

結論。ではどういう方式を採用しているのか

長くなりましたので、次回にまとめをアップしたいと思います。

 




紀南地方でもっとも古くから高気密高断熱住宅を手掛けてきた弊社の強みは、このように高水準な数値を安定的に出すことができる点です。

気密数値を語る場合、この「安定したクオリティ」が非常に重要なポイントとなります。1邸1邸の数値が安定しないようでは、お客様によっては「ハズレ」を引く可能性があるためです。

なお、数値性能だけが良くても「=体感性能も良い」という訳ではありませんので注意が必要です。数値性能と体感性能が比例していない建物はたくさん存在します。

むしろ数値性能は参考までと考え、実際に寒い日・暑い日の見学会に参加して「しっかり性能を体感できる」ことが大切です。

今後もまた報告をアップしていきたいと思います。

 

 


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