12月度 見学会の総括。

去る12月10日/11日はみなべ町にて完成見学会を開催させていただきました。

今回はタイミング故か過去もっともご予約数の少ない見学会でした。とはいえ当日予約などもあり、また北は和歌山市から・南は新宮市からもお越し頂き、終わってみれば中身の濃い見学会だったと思います。

なお今回、タタミリビングの居心地があまりにも良いのか、「あ~なんか帰りたくないです~」と言って長居してくださるお客様が続出したことが印象的でした。

 

冬の実測開始

当社では毎年仕様の見直しを行なっています。そしてその数値的なスペックが実性能にどれだけ影響を及ぼすのかを調査するため、各シーズンごとにデータを採り続けています。

いよいよ年の瀬も迫りつつあり暖房運転期に入ってきたため、今年の冬の実測を開始しました。今回の実測データをここで少し公開してみたいと思います。

2022.12-見学会総括

今回の見学会会場のお家の温湿度です。ちなみにこのお家は南側にギリギリまで隣家が迫っているため東側採光としており、朝の10時ごろまでしか日射が取得できない非常に厳しい立地条件となります。さらには高台の分譲地のためこの日は非常に風が強く、それを考慮してのこの実測データは非常に優秀であると言えると思います。なお日射がしっかり取得できる立地条件なら、今の時期なら無暖房でも全然これくらいにはなります。

 
  • 稼働エアコン 1階LDKの1台のみ(22℃設定)
  • 加湿器をLDKに1台だけ設置
  • 外気温 上記の時点で10~11℃程度
  • UA値 0.47
  • C値   0.15
 

見学会での性能の見分け方 その1

高性能を謳う住宅会社であれば必ず温湿度計を会場に設置していることと思いますが、上記のように場所ごとの温度ムラがどれくらいあるのかをチェックするのがオススメです。高性能を追求する大きな意義の1つがヒートショック対策なのですから、これは当然の話です。もちろん立地条件や間取りにもよるのですが、しっかり高性能と呼べるレベルに達しているなら、直接は空調が効いていない水まわりや浴室でもLDKとの温度差は3℃程度に収まります。ちなみに床下エアコン採用のお家であればさらにあと1℃程度その差を縮めることができます。

逆に気を付けたいトークが「ほら見てください、リビングの室温が27℃もあります」といったものです。真冬に27℃は確かに半袖で過ごせるほど暖かいと言えますが、その際に水まわりは何度になっているのでしょうか。仮に水まわりが20℃であればそこに7℃もの落差があるわけで、その温度差によって水まわりが相対的に寒く感じる結果になります。これでは「性能が良い家(=住み心地が良い家)」とは言えません。リビングの最高室温を高めたいだけであれば、性能の悪い窓を南にたくさん付ければ簡単にそうなります。性能の悪い窓はバンバン熱を通しますから、日射取得ですぐに室温は上昇します。その代わり、上記のように場所ごとの温度ムラが大きくなり、また陽が暮れた途端に窓からの冷気でどんどん冷え始めます。

 

見学会での性能の見分け方 その2

もう1つ、冬の見学会で確認しておきたいのが湿度コントロールです。冬に健康で快適な生活を送るための条件は「室温20℃以上かつ湿度50%程度」と言われます。室温が20℃以上あっても湿度が低ければ結果的に寒く感じますし、何よりも人間の粘膜にダメージを与えてしまうため健康に良くありません。室内の各所がムラなくしっかり加湿された状態を維持できているかをチェックしましょう。ちなみに私が個人的に快適に感じるのは「室温22℃で湿度50%程度」ですので、当社見学会ではそのあたりを目標に各セッティングをしています。

気密性が低い家や窓の性能が悪い家は、この湿度50%程度(絶対湿度で8~10g/㎥)が維持できません。気密性が低いとその無駄な隙間から湿度が屋外に逃げてしまい、家全体をムラなく加湿することができません。窓の性能が悪いと加湿すれば窓に結露を生じてしまいます。ちなみに今回の当社のお家の環境であれば、低グレードなアルミ樹脂複合窓ならあと5℃程度でも外気温が下がれば結露が発生する計算になります。つまりまだ厳寒期とは言えないこの時期でも、人間に快適な湿度環境を作り出せば朝方には結露が生じてしまうという意味です。よく「アルミ樹脂複合窓でもウチの家は結露していませんよ」というセールストークがありますが、その理由はあまりにも簡単で、単に加湿が足りずに乾燥しているからに他なりません。

 

これにて本年の見学会イベントは終了です。

2023年1発目の見学会はまだ未定ですが、決まり次第告知させていただければと思います。

 

エスケイハウジング 代表取締役社長 鈴木 基悦


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