施工例 和歌山県田辺市 Y様邸

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主なスペック

  • ウレタン遮熱工法
  • 耐震等級3相当

設計コンセプトとエピソード

様々な住宅会社を比較した上で当社をお選びいただいたY様。最終的に決め手となったのは「設計の提案力」だったと言っていただきました。
 
今回も土地探しからのお手伝いだったのですが、この有名分譲地は総じて方位が45度程度振っており、設計が非常に難しい場所です。Y様から見せていただいた他社様の提案図面では、すべての住宅会社が建物を奥(南西側)にぴったりと寄せた配置計画となっていましたが、それだと昼以降、裏側の隣家が影を落としてくるためまったく日射が入りません。またこの敷地は54坪と広く、庭は横(南東側)に十分に確保できるため、建物をぴったり奥に配置したところで道路側には無駄に大きな駐車場が出来上がるだけとなります。そのため私はあえて建物をなるべく前面道路側に配置させて南西側隣家との離隔距離を確保し、より長時間の日射を得る設計を提案しました。そうして奥に出来上がった約2メートルの空きスペースは洗濯物干場として活用できるようにしており、結果的に陽当たりも良くしながら人目につかない物干し場ができました。さらに日射シミュレーションにより、上記のような設計をしても11月~1月はほとんどリビングの窓に日射が当たらないことが予測されたので、吹抜けを提案して冬の陽当たりを補助する設計としています。「吹抜け=オシャレ用途」と考えている人が多いですが、本来の吹抜けの役割はこのようなケースに対処するものであると私は考えています。
 
2階の吹抜けに隣接して、ご夫婦共用の5.3帖のワークスペースを提案しました。格子壁によって「音は聞こえるけど目線は届かない」という微妙な距離感で仕切られており、ここで奥様はお仕事をされるとのことです。このお家を設計した時点ではまだあの某ウィルスはこの世に登場していませんでしたが、奇しくもそれを見越したかのようなテレワーク完全対応のお家となりました。なお、夏場はこのワークスペースに設置されたエアコンで冷房を行ない、吹抜けを通じて1階にも冷気を送る全館空調計画としています。その冷気の通り道を阻害しないためにも、吹抜けの壁が格子になっているのです。高性能なお家においては、特に夏場の冷房運転は1台のエアコンになるべく広範囲を負担させたほうがより省エネで快適になります。しかしそうしたエアコンの運用方法には高い断熱・気密性能と相応の設計が必ずセットで必要になります。このため、カタチだけを真似して同じようなエアコン設置としても失敗するだけになりますので、しっかりとノウハウを持った住宅会社で提案を受ける必要があります。
 
「エアコン1台で全室快適~」などという安易なキャッチコピーはよく見かけますが、実際にそのキャッチコピーを実現するのは並大抵のものではありません。当社においてもまだ空調設計には模索中の部分も多く、100点満点といえる方式は確立していません。このためそのお客様の計画やご希望に合わせ、現時点でもっともベストだと思えるものを都度提案しています。
 

(コメント: 営業/設計担当 鈴木 基悦)