ヒロメ研究棟をつくりました

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ヒロメ研究棟をつくりました

和歌山紀南地方名産のヒロメ(ヒトハメ)の研究をされている山西さん。
ヒロメの養殖を安定的に行なっていくため、培養研究に力を入れておられます。
今回その培養研究のための研究棟を建てる建築会社として、エスケイハウジングをお選びいただきました。
ヒロメ研究と実験棟の使い心地をインタビューさせていただきました!

 

研究に一番大切なのは温度管理

突然事務所へ計画のご相談にお越しいただいた山西さん。エスケイハウジング で研究棟建築を依頼して
いただいたのには理由がありました。
「研究していくにあたり温度管理は何よりも大切です。イメージとしては恒温室(=温度を一定に保つ部屋)
をつくりたかったんです。エスケイハウジングさんは、高気密高断熱住宅を専門として建築をされている
というところをネットで知り、相談させていただきました。他の会社も調べましたが、特に断熱にこだわっ
ているとかんじました。研究棟なんて特殊な案件ですからね(笑)一度伺って建築可能かどうか社長さんと
話をさせていただきました。」
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ヒロメの培養研究に最適な室温は18℃だそう。この室温を保つことができるということが何よりも大切で、
温度管理が難しい施設だと研究していくこと自体が難しかったり、温度管理をするためにたくさんの機械が
必要になったり・・・。
ランニングコストと、研究内容、研究がスムーズにいくかなど、研究棟建築にあたりさまざまな方法を検討
されたという山西さん。
「研究していくにあたり、大きめのインキュベーター(=温度を一定に保つ機械で植物や微生物の培養や
研究に用いられる)の導入を検討したりもしました。しかしインキュベーターだと温度管理のみとなって
しまい、観察していくにあたり作業スペースが別になったりということも懸念しました。なので、部屋全体
に温度管理ができる機能をもたせ、その中で自分も作業できるという今のかたちがベストでしたね!
コストとのバランスも重視したかったので、いい計画ができたと思っています。」とおっしゃいます。
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研究は温度管理だけではないですもんね。培養中のヒロメの観察をおこなったり、経過を記録したり、実験
器具の収納場所や、薬品の管理スペースなども必要。
さまざま検討した結果、とても効率の良い施設ができたということでお喜びいただいておりました。
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想定外のことも!

温度管理を重視して建築された研究棟。実際研究されてみていかがでしょうか?
「外気温に左右されていないのは明らかです。あとは室内の問題で解決できるので、エアコンの使い方など
でいい条件を見つけることができればと思っています。外気温に左右されてしまうと、どうしても他の検討
事項が増えるのでまた変わってきますから今の環境は管理しやすいですね。今(1月の時点)はエアコンを
つけなくても朝18℃くらいを保っています。想定外のことがあって、LEDで室温が上がるんですよ!LEDは
熱が出ないのが特徴ですが、少しだけ近くに手を当ててみるとほんのりあたたかく感じます。これで蓄熱し
て少し温度が上がるんです!なので今年は冬でもあたたかい日がおおかったですが、少し冷房を入れた日も
ありました。」と山西さん。
外気温に左右されないとのことで感想をいただき、高気密高断熱を専門に建築させていただいている私たち
としては、実感いただき大変うれしい気持ちです。
2019年12月〜2020年1月はたしかにコートやジャンパーがいらないような日もたくさんありましたね。
エアコンの使い方でいい条件を見つけていただけることを願っています!
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湿度と換気

「いつもこのように温水を使って培養実験を行なっているので(水温は19℃)湿度は割と高いんです。今で
85%くらいですかね。湿度が高い割には洗った実験器具もしっかり乾きますし、カビの発生なども今のところ
ありません。ドアを開けなくても換気のシステムがしっかりしているためだと思います。できるだけドアの
開け閉めなどでの換気を行いたくないんです。外気を取り込みすぎると他の微生物が侵入してくる可能性が
高まるためです。私は研究棟として建築依頼をしましたが、本来一般的な住宅をメインとされているとの
ことなので、これを住宅として考えた場合、かなり適切な室内環境にもっていくことが可能であると思います。」
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たくさんの実験用カップの中にいるヒロメの赤ちゃんたち。水温+室温で最適な温度で培養されています。
いつも水がある状態での作業となっているとのことですので、換気も大切になってきますよね。ヒロメに
最適な状態とその他の作業性。どちらも叶ってこそ研究棟の意味がありますね!山西さん培養中のヒロメが
順調に育つ環境づくりに貢献できうれしく思います!
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実験の内容をちょっとのぞき見

さて、建物のことはさておき、山西さんの実験がどんなものなのかすごく気になりますよね!私たちも大好き
なヒロメの研究ということなのですが、具体的にどのようなことをやってらっしゃるのでしょうか?
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「今、ヒロメの漁獲量が落ちている状況なんです。少し前からヒロメの養殖ということは漁師さんたちがやっているのですが、温度の影響などでうまくいっていない状況なんですね。というのも30℃を超えるとヒロメの配偶体(私たちがイメージする大きなヒロメではなく、ヒロメの赤ちゃん)は死んでしまうんです。なので、私が今研究している
のは、今までの養殖とは違う方法でヒロメの養殖を可能にし、実用レベルで大量生産を可能にできないか?ということなんですね。今私が研究している方法は、徳島の大学がワカメの培養実験で成功している方法なので可能性としてはあると考えています。しかしワカメとヒロメは親戚みたいなものではあるのですが、生物的には違うものであるので、うまくいくかは今研究中なんです。」
ヒロメは紀南地方の名産でもあり春ごろスーパーにいくと、この地域の方は普通に購入していますが、全国的
に獲れるものではないですし、そのヒロメの漁獲量が落ちているというのは深刻です。ヒロメの養殖がうまく
いくと安定的に食べることができ、私たちも安心です!そのような研究を熱心に行なっている山西さん。
 
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「海の温度が上がると、食害の影響をうけやすくなって
しまいます。そうでなくとも自然のものはどうしても自然まかせになってしまう部分があります。私は環境の変化に対応していけるよう実用レベルでヒロメを大量生産できるよう研究をつづけていきたいです。この1ビンの中に入っているタネ糸(=ヒロメ培養が成功しヒロメの赤ちゃんがたくさんひっついている糸。漁師さんと海へ入れて育つのを待つ)は36メートルあるのですが、これが100コできたとすれば3.6キロメートル。これを収穫できたとすれば過去の年間最高収穫高に匹敵するんです。
うまくいくか分かりませんが(笑)1年に一回しか成果が分からないので、本当になんとも言えません。でも研究をつづけ、ヒロメを安定的に養殖できるよう力になれればと思っています。」
 
 
 
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山西さんはとても楽しそうにお話ししてくださいました。
研究に熱心に取り組んでおられ、生き生きとされています。
私たちの食卓に並ぶヒロメですが、とてもおいしく体にも良く、
すばらしい海の生き物ですよね。
山西さんの研究を私たちもとても応援したい気持ちです!
エスケイハウジング で建築していただいた研究棟で研究成果が出るのを社員一同期待しております!

 

今回は研究にお忙しい中インタビューにご協力いただきましてありがとうございました!
今後ともすばらしい研究を頑張ってください!
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※このインタビューは、お施主様の許可を得て写真掲載を行っております。