エスケイハウジングでは、建築させていただくすべてのお家で気密測定を行っております。
先日も、田辺市で建築中の現場にて気密性(C値)の測定を行いました。
結果は 気密C値=0.10 でした。今回はいつにも増して超高気密が確保できました。今夏完成してくるお家から2022年仕様に入ってくるのですが、2021年仕様から少しだけ断熱強化をしているため、UA値も平均的に0.38~0.43程度となってきます。ちなみにこの気密測定したお家のUA値は0.41となります。
和歌山県の場合、今のエネルギーコスト高騰時代において初期費用とランニングコストと快適性、3つのバランスがもっとも良くなるのが間違なくこのあたりです。具体的にはC値0.3以下程度を前提とし、UA値0.40~0.46ですね。
ちょっと話は変わりますが、近頃は高性能化競争時代に入り付加断熱や外張り断熱が注目されるようになってきましたが、その致命的なデメリットがあまり語られないことに闇を感じます。
今回はかなりマニアックな話題になりますが、そのへんに切り込んでみたいと思います。
付加断熱や外張り断熱とは??
そもそも付加断熱や外張り断熱とは何ぞやということですが、下記の図の通りとなります。
要は断熱材をどこに入れるかの話なのですが、日本ではもっともコストの安い充填断熱(内断熱)が今でも一般的です。ちなみに県内ではもっとも古くから高気密高断熱を社是としてきた当社も、充填断熱を採用しています。
対して2000年前後頃にいちブームとなったのが、外張り断熱です。もともとはボード状断熱材を製造しているメーカーが自社商品を売りたいがために普及させた工法で、「熱橋がないから快適性が上がる!」という謳い文句で一時代を築きました。エンドユーザーはもちろん実務者でさえQ値(※1)などの数値の意味を知らず、きちんと根拠ある数値で比べることができない人ばかりだったが故の、ポエム先行の古き良き(悪しき?)時代だったのでしょう。
そして住環境先進国(主にヨーロッパ)で近年メインとなっているのが、充填断熱と外張り断熱を組み合わせた付加断熱です。その名の通り充填断熱に外張り断熱を「付加」している訳なので、より商売的に派手に宣伝するため「ダブル断熱」などと呼ぶこともあります。今、日本でもこの高性能化ブームに乗っかるため、付加断熱を導入する住宅会社が急増しています。
(※1)今でいうUA値。断熱性能を図る指標で、数年前まで用いられていたがUA値に切り替えられた。Q値は換気による熱損失を計算に含むが、UA値はそれを含まない。
一番良いのはどれ??
では一番良い工法はどれかという話になりますが、これは何を重視するかによって変わってくるため何とも言えません。だからこそ各住宅会社は「(当社の採用している)○○断熱がもっとも良いのです!」と宣伝するわけです。
ただ1つだけ言えることは、コストを度外視し、単純に住宅性能の高性能化だけを主眼に置くのであれば付加断熱がもっとも優れています。またもう1つ言うならば、コスパ・高性能化の両面においてもっとも中途半端なのは外張り断熱です。ということで、これから先も当社で外張り断熱を採用することはないでしょう。今後、付加断熱を採用する可能性は大いにありますが、それでも今の情勢が大きく変わらない限りは充填断熱を採用し続けると思います。
ということで現状のところ当社では、総合的な観点から充填断熱がもっとも優れていると考えています。
「ドイツでは付加断熱が主流だから日本もそうするべき」という見当違いなセールストーク。
これは最近よく聞くトークです。いやいや、ここは日本です。なぜ住宅先進国でも主流の、物理的な側面から見れば非常に優れた工法が日本では浸透しないというと、そこには初期コストという大きな壁があるからです。
例えばドイツの地価は日本の約半分。つまりそれだけ建物本体にコストを配分しやすい地域的な特性があるのです。しかし地価の高い日本では土地に多くの予算を配分せねばならず、なかなか建物にそこまでのコストを配分できません。付加断熱を採用した場合、充填断熱に比べて少なくとも150万円~のコストアップになります。この部分は日本において完全に伏せられています。我々業者側では常識なのですが、それを言ってしまえばお客様が予算的に渋り始めるため、意図的に伏せられているのです。
ちなみにですが、ドイツの住宅はそれだけ高性能化を図った結果、壁厚が30センチもあります(日本は基本的に10センチ)。こんな土地の狭い日本で壁厚が30センチにもなってしまえば、40坪そこそこの日本の敷地にまともに建物を配置できません。断熱強化に200万円かけるのであれば、そもそももっと広い敷地(=日照条件も良くなる=暖かく燃費も良い家になる)を選ぶことができるという点をみんな忘れているのでしょうか。。。
なぜエスケイハウジングでは充填断熱なのか。
もう勘の良い方は見当がついていると思いますが、ここはあえて後編にひっぱりましょう(笑)
紀南地方でもっとも古くから高気密高断熱住宅を手掛けてきた弊社の強みは、このように高水準な数値を安定的に出すことができる点です。
気密数値を語る場合、この「安定したクオリティ」が非常に重要なポイントとなります。1邸1邸の数値が安定しないようでは、お客様によっては「ハズレ」を引く可能性があるためです。
なお、数値性能だけが良くても「=体感性能も良い」という訳ではありませんので注意が必要です。数値性能と体感性能が比例していない建物はたくさん存在します。
むしろ数値性能は参考までと考え、実際に寒い日・暑い日の見学会に参加して「しっかり性能を体感できる」ことが大切です。
今後もまた報告をアップしていきたいと思います。